現地化に関連して常に経営課題の上位に挙げられるのが“現地人社員の育成”です。前回の噺で触れましたが日系企業では、経営トップを含む幹部メンバーは依然として日本本社から派遣された日本人が占める割合が高いままとなっています。これは言ってみれば“現地人社員の育成”の成否も日本人上司に大きく依存している事になります。2008年に早稲田大学が中国駐在の日系企業を対象に行った「中国人の部下から見た日本人上司と中国人上司の比較調査」の結果によると、日本人上司が高い評価を得たのは“仕事の効率”、“会社の経営についての情報共有”、“上司の指示に納得しての行動”の4項目でした。反対に“仕事を納得できて分かり易く説明する”というコミュニケーション力、部下に対しての“気配り”、“信頼”、“キャリアに関心を持つ”などの部下の育成力、“上司の間違いを指摘する”、“上司と仕事以外の話をする”などの対人関係に関する項目では中国人上司に比べて日本人上司の評価が低いという結果が出ています。つまり中国人の部下は日本人上司が自分たちを育成しようとする姿勢が弱いと見られており、意思疎通も含めた現在の日本人中心の現地経営の課題がここに浮彫りにされています。金融危機でスローダウンした求人市場も昨年後半から需要は増加傾向に転じていますが、営業職や研究開発職を中心に輸出中心から内販へと経済の重心が移行する中、中国では今まで稀であった職種も多く募集されることから、経験者が需要に対して非常に不足しているのが現状です。優秀な人材の獲得・育成・留保のためにも経営の現地化が急がれるようです。
今回でFaroの中国人材噺はひとまずここで終了です。全12回シリーズとして、可能な限り客観的情報に基づいて中国での人材採用に関連した噺を掲載してきました。今後のご参考になれば幸いです。